State of cleaning technology

塗替えの前工程としての下地処理

日本では、さまざまな大型インフラが老朽化しています。代表的な大型インフラである橋梁について見ると、これから20年後には現在利用されている橋梁の過半数が建設後50年を越えるという老朽化の大波が押し寄せます。

そのため、大規模修繕によるインフラの延命が課題となっています。そのために重要になるのが、表面の塗替えです。塗替えという作業は、ケレン(下地処理)をして錆びたところや傷んだところを削り、その上からきれいな塗装を塗るという2工程しかないシンプルなものです。

ケレンは落とし具合により1種から4種まであります。1種ケレンは錆や塗膜を全て削り、部材の表面を出すレベル。4種ケレンは汚れを拭き取るレベルです。2種ケレン、3種ケレンはその中間で、劣化膜や錆だけをディスクサンダーやスクレイパーなどで削ります。

塗装、塗装後の経過品質

老朽化インフラへの1種ケレンへのニーズの高まり

日本の大型インフラの多くは、これまで2種・3種ケレンで塗替えを行ってきました。特に鋼材でできた鋼橋と呼ばれる橋は、劣化してきても塗り替えで半永久的に新品同然の橋として使えると言われてきましたが、半世紀近く経ってみると、年々塗り替え周期が早くなって、維持管理レベルが下がってきていることがデータで示されています。その原因は下地処理の不備であると言われています。

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モニタリング調査結果(*1)

ケレン不足では再塗装しても塗料が無駄になってしまうことが明らかになり、今後は腐蝕が激しいところは1種ケレンできれいにするというニーズが広まってくると予想されています。

*1 出典:財団法人 土木研究センター「部分塗替え塗装による鋼橋の長寿命化について」資料より抜粋

1種ケレンの基準技術「ブラスト処理」における課題

1種ケレンの基準となっているのが「ブラスト処理」です。研削材(砂、金属類の破片などの微細な粒子)を高速のエアーと同時に噴射して、表面に叩きつけることで機械的に削る(はつる)作業です。

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ブラスト工法における作業の一例:出典 創建塗装㈱ホームページより
ブラスト工法の種類と施工の様子:出典 2010.5.27 第13回 社団法人日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会 技術発表大会予稿集 中日本高速道路㈱「高速道路における鋼橋の塗替え塗装と塗膜除去工法に関する 取組み」資料より抜粋し㈱トヨコーにて作成

安価で非常に効果が高い方法ですが、以下のような問題があります。

●粉塵飛散による作業員環境の悪化
物理的に削ることで表面の塗料が飛散するため、塗料の中に含まれる鉛、PCB、クロム類などの有害物質を作業員が吸い込むことが避けられません。

●研削材による二次汚染
研削材と塗料が混ざるため、有害な産業廃棄物として処理する必要があります。場合によっては有害物質の分離回収の手間がかかる場合もあります。工事をするほど汚染物質が増えていくため、問題となっています。

●作業中の騒音
金属表面に高速でショット材を叩きつけるので、甲高い大きな音が出るため、市街地で夜間に行う場合にはクレームが出ます。鉄道会社や高速道路などの夜間工事の多いインフラもありますので、これも問題です。